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【塾生・指導者必見!】円周角の極意!
今回は円周角の指導について書きたい。
円周角の単元は、数学の問題を解くのに必要な論理的思考力を鍛えるための良い訓練になる。
逆に言うと、その論理的思考が出来ていない子にとっては、手が止まりやすい単元とも言える。
生徒がどのような場面で、どのような理由でつまずくのかも含めて、私の指導法を書きたい。
①円周角の定理
まずは円周角の定理の説明。
この二つを説明する。
このとき生徒がつまずくパターンは3つある。
① 円周角を中心角の2倍としてしまう
② 円周角と中心角を同じ大きさとしてしまう
③ 円周角と中心角のどちらか一方が分かればもう一方も分かる、ということに気づかない
①②に関しては、「見た目から大きさを予測する(感じ取る)」という習慣が無い子が陥りやすい。
板書するときに、数学が苦手な子に
ここ、何度くらいに見えますか?
と発問して、ざっくりと角の大きさを判断する習慣の有無を確認すると良い。
③は円周角の定理を使った問題を解く上での肝だ。
発問A「円周角が30度です。では中心角は何度?」
発問B「中心角が90度です。では円周角は何度?」
という発問をしたあとに、
発問C「つまりどういうことが言えますか?」
と抽象化(言語化)させると良い。
発問AとBに答えられても、発問Cに答えられない生徒は多い。
「円周角と中心角のどちらか一方が分かれば、もう一方も分かる」という点は強調しておくべき事柄である。
このとき類例として、半径と直径の関係を出すと先ほどの話も腑に落ちやすい。
このあと円周角の定理がなぜ成立するのかの証明をどこまで入れるかは生徒の学力、クラスによる。
数学が苦手な生徒には、ひと通り円周角に慣れた上で証明する、という流れでも良いと思う。
②角から弧を見抜く
次に「円周角を見たときに、その角がどの弧に対する円周角なのか」を見抜く(考える)訓練をする。
円周角が苦手な子はこれができていない子が多い。
図で∠CAEを赤で書き、
この角はどの弧に対する円周角ですか?
と発問する。
弧CEです。
と生徒が答えたら、弧CEを赤でなぞる。
次に∠ACEを青で書き、
この角はどの弧に対する円周角ですか?
と発問する。
弧AEです。
と生徒が答えたら、弧AEを青でなぞる。
次に線分AD、DEを引き、
∠ACE(青)と等しい角はどれですか?
と発問する。
ここで、次の2パターンに分かれる。
「自分で気づける」と「言われたら分かる」、この差がとてつもなく大きいのだ。
ここを自分で気づけるようにすることが大切だと生徒にも強調する。
「円周角を見たら、どの弧に対する円周角かを考える」を繰り返し確認したい。
また細かいところだが、上下が逆さまになると分からなくなる子もいる。たとえば∠ADBが弧ABの円周角だと気づかない(弧ABが上にあるから)。
必要に応じてプリントを回転させたりしながら、「色々な角度から図を眺める」ということも教えておくと良い。
③テーマ別演習
ここからはテーマ毎にどのような流れで進めていくのかを見ていく。
テーマ1 二等辺三角形を見抜く
「見抜く」というと仰々しいが数学が苦手な子は意外と気づかないものだ。
おそらく角度のことばかりが頭にあって、辺のことを認識していないのではないだろうか。
テーマ2 直径から直角を見抜く
いわゆる「タレスの定理」である。
タレス(タレース、古希: Θαλής、羅: Thalēs、紀元前624年頃 – 紀元前546年頃)は、古代ギリシアの哲学者。タレスの定理の生みの親である。ミレトスのタレス(古希: Θαλής ὁ Μιλήσιος)とも呼ばれる。
「タレス」(2021年8月9日 (月) 02:38 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』。
https://ja.wikipedia.org/wiki/OECD%E7%94%9F%E5%BE%92%E3%81%AE%E5%AD%A6%E7%BF%92%E5%88%B0%E9%81%94%E5%BA%A6%E8%AA%BF%E6%9F%BB
今まで扱ってきた問題と、これから解く問題(直径が含まれる問題)を眺めさせ、「今までの問題に無くて、これから解く問題にあるものは何ですか?」と発問し、図の中に直径があることに注目させる。
次に「直径があったら直角ができる」ということを確認する。
「なぜ直角になるのか」の説明は2つの方法がある。(私は一つ目の方法がお気に入り。)
テーマ2で難しいのは、「自分で補助線を引いて直角をつくる」パターンである。
自分の中のイメージと比べて不足しているものを補うための線が補助線である、ということを改めて意識させたい。
テーマ3 円に内接する四角形
最初は公式化せずに「円周角から中心角、中心角から円周角」と、今までの知識を使って解きたい。
そのあと、数字を変えて同じような問題を解いてもらい、共通点(対角の和が180°)に自分で気づかせたい。
気づいたあとに文字で証明する。(一般化)
円に内接する四角形は「内接四角形の存在に自分で気づきにくい」というところに難しさがある。
テーマ4 1つ飛び出したパターン
この形は、いわゆる「スリッパ公式」や「ブーメラン公式」を活用する問題。
スリッパやブーメランを見つける訓練をさせたい。
テーマ5 2つ飛び出したパターン
この形は「ブーメラン公式」と「円に内接する四角形」を見抜く問題。
求めたい角をxとおいて方程式を立てるパターンがあるので、必ず触れておきたい。
テーマ6 接弦定理
これも「タレスの定理」と同様、
他の問題には無くて、この問題にある情報は何ですか?
と発問し、接線の存在に気づかせたい。
当たり前であるが、接弦定理も必ず証明する。
証明(説明)できないものを使って、分かった気になってはいけない、という姿勢は強調しておきたい。(高校数学を見据えて指導したい。)
④まとめ
このあと、数学が得意な子、上位を目指す子には
・弧に円周角を書き込む解法
・アルハゼンの定理
・円が二つ組み合わさった問題
・弧の長さを絡めた問題
などを指導する。
円周角に限らないが、その単元を勉強するときにどういう力を養いたいのか、ということを意識しながら授業を進めることが大切である。
指導する側も、授業を受ける側も、「いま自分がどういう力を鍛えているのか」ということを意識しながら練習を行うと良いだろう。