自問自答力

だいぶ昔のことだが、数学がとても苦手な子がいた。

はじめはその子がなぜ数学を苦手とするのかが分かっていなかった。

正直に言うと、「数学に苦手意識があって、計算力が不足している」くらいの浅い認識であった。

その子と一緒に勉強をしているときにいろいろと質問をしていくと、どうも気になることがある。

その子にふとこんな質問をしてみた。

福永

これを見て何か思うことはある?

進学塾unit 数学 写真
生徒

えっ?何を思う・・・ですか?

福永

うん。どんな些細なことでも良いよ。これを見て、どんなことを思う?

生徒

う~ん・・・、特に何も思わないです。

福永

そっか。ちなみに、ここの角度は何度?

生徒

120度です(即答)。

福永

そうだね。ここが120度だって、さっきは考えなかった?

生徒

はい。

このようなやりとりだったと記憶している。

その子が数学を苦手とする理由がおぼろげながら理解できた気がした。

おそらくだが、この子は「連想すること」と「自分で問いを立てること」が苦手だったのだろう。

ある角度を見たら、その隣の角度も分かる(180度から引けば良い)ということを分かってはいるが、
自分で連想するのが難しい。

また「ここは何度?」と人から聞かれたら即答できるが、人から聞かれないと答えられない。

つまり「自分ひとりで思考を進める」ということが苦手だったのではないか。

(ちなみに社会は偏差値70を超えるくらいの子だったので、勉強全般が苦手な訳ではない。上記のようなことだけがとくに苦手だったのだろう。)

中2生の授業でこの子のお話をした。

その上で、塾生たちに聞いてみた。

福永

私は普段の授業できみたちにいろいろな質問をしていますが、実はだいたい同じような質問しかしていません。私は普段、どんな質問をしていますか。

私としては、普段から聞いている質問のパターンが2、3パターンしかないので、多くの子が認識できていると思った。

しかし、実際に聞いてみると、ほとんどの子がどういう質問をされているか認識できていなかった。

福永

私がなぜ繰り返し同じような質問をするのか。それは、きみたちが同じ質問を自分自身に対してできるようにするためです。だから、これからの授業で私がどういう質問をしているか、注意しながら聞いてください。そして、その質問を覚えておいて、問題を解くときに自分自身に問いかける習慣をつけましょう。それが考える力につながります。

彼らが的確に自問自答できるよう、私も洗練された質問を心がけたい。

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