2021年度入試、全13名の受験生の進学先が決まりました。
【公立高校・学校選択問題 採用校】
・浦和高校 1名
・川越女子高校 1名
・所沢高校 1名
【公立高校・学力検査問題 採用校】
・浦和北高校 1名
・市立川越高校(普通科) 1名
・川越初雁高校 1名
・松山女子高校 1名
【私立高校】
・城西大学付属川越高校 2名(特進1名、進学1名)
・東京農業大学第三高校(Ⅱ) 1名
・細田学園高校(進学β) 1名
・山村学園高校(特進文理)1名
・山村国際高校(進学) 1名
(カッコ内は学科・コース名、五十音順)
公立高校入試の合格発表が終わった。入試が終わってから合否が判明するまでの一週間は本当に長く感じた。その間、生徒たちの当日の自己採点の点数を見たり、これまでの北辰テストの偏差値推移を見たり、過去のブログを読み返したりして、彼らの一年間の努力の軌跡を振り返っていた。そうすることで合否が変わる訳ではないが、そういう行動を通じて、改めて私自身が合否結果を受け入れる気持ちを整えたかったのかもしれない。合格発表の前の晩はなかなか寝付けなかった。浅い眠りにつき、合格発表の夢を見て、生徒たちから報告を受けるタイミングで目が覚める、というのを3回繰り返して朝を迎えた。
進学塾unitは2019年5月18日に開講した。開講1年目にあたる2020年度入試は中3生の在籍が2名。1名が私立高校を単願で受験し、合格。もう1名は県立高校を受験し、無事に合格した。2名とも合格の可能性が高い状態での受験だったので、私にとっては不合格の重圧をさほど感じずに済んだ一年だった。そして今年度の中3生は半分くらいの生徒が中2の後半から指導を始め、丸々一年間、受験に向けて一緒に走れる初めての代となった。この子たちが中2生だったときは、勉強に前のめりに向かう姿勢、毎日塾に勉強しに来る学習習慣、それに伴いぐんぐん伸びていくテスト結果が全員に見て取れ、学年全体に勢いを感じた。「絶対にこの子たちを合格させたい」と強く思わずにはいられない、そんな子たちだった。「この一年は、きみたちにとって我慢して勉強する一年ではない。今よりも勉強を好きになる、生活の一部に勉強が根付く一年にしよう。」そんな話をして、新年度が始まった。
そんな矢先のコロナ騒動。いっときはどうなることかと思った。しかしこちらの不安もよそに、彼らは自宅学習や私が出した課題をしっかりと頑張ってくれた。子どもたちのたくましさを感じた時期だった。この時期、対面による集団授業を中止した期間があった。ある日、車を運転しているときに「彼らと一緒に授業ができない、勉強ができない時期がこの先もずっと続くのでは?」と想像し、無性に泣けてきたことを覚えている。それくらい彼らとの日々の勉強は楽しかった。結局、1学期の定期テストでは彼らの頑張りが実を結び、過去最高点を取った子が多かった。1学期の通知表も9科合計で29だった子が36に、35→40、38→43、32→39、32→42と、多くの子が通知表を上げてきた。社会情勢も日々変化し、精神的にも不安な状況でよく頑張ったと思う。
そして夏期講習。彼らのほとんどは中2の後半から中3の頭の時期に入塾しているので、中1、中2生の内容、とくに数学・理科・社会の基礎知識は全くと言っていいほど定着していなかった。夏期講習は朝9:00から12:00まで授業、お昼を挟んで17:40まで授業。そして、基礎から復習が必要な子には18:40から22:00まで行われる中1、2生の授業にも一緒に出席してもらい、復習を重ねた。当然、宿題の量も受ける授業数に比例するわけで、生徒たちはそれを終わらせるのに大変な思いをしたと思う。
彼らはよく頑張っていたと思うが、夏が終わり秋を迎える頃、私は彼らの勉強に対する姿勢について厳しい言葉を投げかけた。私がこれまでに見てきた先輩たちの話をし、全力で勉強するとはどういうことか、本気の人はどういう行動を取るか、そんな話をした。「きみたちがいま頑張っていることはよく分かっているが、まだまだこんなものじゃないだろう。体力的にも精神的にも余裕があると思う。もっと頑張れるはず、もっと自分を追い込めるはずだ。自分に甘い部分をもっと追い込もう。私が課題を出したり強制力を働かせたりして追い込むのではない。きみたちが自分自身で自分を追い込んでほしいんだ。自分自身に厳しくできるようになって欲しい。」という話をした。他律から自律へ。私がこの一年間、彼らに求め続けたことだ。
秋から冬にかけて、少しずつ彼らの勉強が変化してきた。一進一退を繰り返しながらも徐々に勉強時間が増え、小テスト勉強に対する取り組みも良くなった。「真面目」から「真剣」にシフトしていった。毎週、彼らが勉強時間を記録する冊子の中で交換日記のようなことをした。そこには、自分自身で勉強量や内容を振り返り、反省し、翌週の目標を立て、実行に移そうとする彼らの姿があった。もちろん、途中で計画していた通りに勉強できず、サボってしまっている姿も見られた。しかし「やりなさい」という言葉がけはできる限りしないようにした。基本的には「こうすれば計画を実行しやすい」「こういう風に工夫してみよう」というアドバイスと励ましの言葉だけをかけた。そして、ここぞというときだけ、受験生としてあるべき姿、あるべき姿勢についてじっくりと話をした。そういう後悔や話し合いを繰り返しながら、自分自身の行動を制御する、意思と行動を一致させることが少しずつできるようになってきた。
そして年明け。ここで1名、私立の難関校に挑戦する生徒がいた。この子の挑戦はそれなりに大きな苦労とリスクを伴うものだったので、「挑戦したい」という話を秋頃に受けたとき、私には若干の躊躇があった。しかし「どうしても受験したいんです。受験しなかったら、きっと先々後悔する」という本人の力強い言葉を聞き、肚をくくった。それから猛特訓をし、また日々の授業後や細切れの時間に個別に質問対応をし、できる限りのフォローをした。結果は残念ながら不合格となってしまったが、この挑戦を通じてこの生徒が大きく成長できたことは間違いなく、本人にとっての糧となったことと思う。私にとっても、この子とともに勉強する時間は何物にも代えがたい喜びであった。目の前の難問を一緒に解いていて、解法や視点を教えたときの本人の目の輝き。「勉強が好きになる」ということがどういうことか、間近で見させてもらい、勉強させてもらった。この子の挑戦に伴走させてもらったことは、私にとっても今後の大きな糧となるだろうし、必ずや糧とせねばならないと思っている。
公立高校入試前の2~3週間は「体力的にも精神的にもキツい。早く終わってほしい。」という気持ちがある反面、「この子たちともっと勉強していたい」という気持ちもあり、複雑な心境だった。体力は限界に近づいていたが、彼らが成長していく姿を間近で見られることが何よりも嬉しかった。受験後、彼らに書いてもらった塾の後輩へのメッセージの中には「勉強を好きになってください。」と書いてあった。彼らの一年間の勉強は、決して嬉しいこと、楽しいことばかりではなかったはずだ。好きなことを我慢し、模試の偏差値に落胆し、ミスが減らない自分に対して怒りを覚え、私からの厳しい指導にも耐え、受験に対する重圧も感じながら勉強してきたはずだ。そういう経験を経てもなお「勉強を好きになってほしい」という言葉を紡ぎ出した塾生たちを私は誇りに思う。
そして今日。一年間頑張ったことへの一つの結果が出た。先述の生徒を含め、3名の生徒が第一志望の高校を不合格となった。3名の生徒たちも、もちろん他の生徒たちも、高校受験において「挑戦」をした。ある生徒にとっては高い山への挑戦だったかもしれないし、ある生徒にとっては自分自身の弱さを克服するという挑戦だったかもしれない。どの生徒も、最後までしっかりと挑戦し続けたと思う。そう断言して良いと思う。
第一志望の学校が不合格となった塾生たちへ
私は常々、「想いを込めて行動した分だけ、湧いてくる感情の絶対値は大きくなる。」と話しています。きみたちが想いを込めて勉強してきた分だけ、悔しい気持ちもたくさん湧いていると思うし、もっと頑張れたかもしれないという後悔の念が渦巻いていると思います。私もきみたちと一年間、一緒に走ってきたから、とても悔しいし、色々と後悔していることもあります。(やれるだけのことをやろうと日々行動してきたつもりですが、終わってみれば後悔が湧いています。全力で何かに打ち込む、悔いを残さないというのは本当に難しいですね。)しかし、きみたちが頑張ってきたこと、ものすごい勢いで成長してきたこと、入試本番も一生懸命に頑張ったこと、同じように頑張る塾の仲間たちの見本や刺激となったこと、どれも不合格によって消え去るものではありません。今まできみたちが「自分自身の意思で」頑張って積み重ねてきたことは、今後のきみたちを力強く支えてくれるものです。今はまだそう思えないかもしれませんが、この不合格という経験さえも今後の君たちを支えてくれます。いつかそう思えるように、気持ちを切り替えてまた高校で頑張ろう。きみたちならそれができると信じています。そして、きみたちの周りの人たちみんなが応援しています。
第一志望の学校に合格した塾生たちへ
合格おめでとう。私はいつも「結果よりも内容が大切」と伝えてきました。きみたちの合格は「内容の伴った合格」だと思っています。つまり、自分のやるべきことをしっかりと行い、勉強の仕方や習慣を身につけて、学力を高め、精神的にも成長した上での合格ということです。塾に入って様々な勉強をするなかで、「もっと早めに始めておけば良かった」と思ったことが何度もあると思います。その後悔をもっともしやすいのが高校1年生の1年間だと思います。高校生活を「楽しむ」とはどういうことか、しっかりと考えてください。きみたちは「楽しい」と「ラク」の違いをしっかりと理解しているはずです。ぜひ、充実した高校生活にしてください。応援しています。
保護者の皆様へ
一年間、本当に有り難うございました。コロナ禍においては、判断の難しい局面も多々ありました。そのたびに、塾運営に対していつも理解を示してくださり、ご協力いただきました。そういった保護者の方々のお陰で、その都度、塾生たちにとって最善と思われる方針を貫くことができました。そして何より、当塾を選んでいただき、お子様と一緒に勉強をさせていただきまして、本当に有り難うございます。当塾の近くには大手の集団塾も個別指導塾も、昔からある個人塾もたくさんあります。そんな状況にもかかわらず、名も知れていない当塾にお子様を預けていただいたこと、いくら感謝しても感謝しきれません。また非受験生の保護者の方々にも、受験生を応援していただき、勇気をいただきました。本当に有り難うございました。
今週から新年度が始まる。生徒たちとともに日々成長し、たくさんの笑顔が生まれる一年にしていきたい。