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第15回 ~少年よ、中二病たれ~【イキる力の大切さ】

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(unit通信 2022年8月号バックナンバー)

お笑い芸人のチョコレートプラネットを御存じだろうか。

私は彼らのYouTubeチャンネルが好きでよく見ている。

何のいわくもないスポットをまるで心霊スポットであるかのように練り歩く「いわくなしスポットを巡る」や、Zoom会議中にバレずに自力でフリーズする「zoomフリーズ選手権」など、最高にくだらない企画が多く、抱腹絶倒を禁じ得ない。


そんな彼らの企画のうちの一つに「財津チャンネル」というものがある。

“ビジネスコンディショナー”という謎の肩書を持つ「財津啓司(という名のチョコプラ長田)」が、これまた架空の氏名・職業のゲスト(チョコプラ松尾)を招き、聞いたことがあるだけの、場合によっては聞いたこともないような横文字を適当に並べ、それっぽく会話してイキり散らかすという動画である。


ソリューションファイナンスがエンターカレッジしている

チューニングエッセンスのマッドハック化

など、基本的に全く何を言っているかわからず(本人たちもわかっていないので笑いをこらえるのに必死になっている笑)、横文字をあえて多用してマウントを取るような手合いへの皮肉が効いていて痛快である。


さて、この動画を見たときに私はふと、大半の視聴者が抱いたであろう感想とは全く別のことを考えた。

それは「学をてらう感覚が今の子供たちには少し足りないのではないか」ということである。


中二病という言葉がある。

説明するまでもないが「思春期の子供に見られる、自分をよくみせるための背伸びした言動」のことを指す。

私も思春期はご多分に漏れず中二病で、小学校の休み時間などは好きな漫画のかっこいい技名などを声に出していたように思う。

特に久保帯人先生の「BLEACH」は大好きであった。

というのも、BLEACHは「グリムジョー・ジャガージャック」「火火十万億死大葬陣」など、声に出して読みたくなるような中二心をくすぐる固有名詞のオンパレードなのである(男子だけだろうか笑)。

BLEACH
久保帯人.BLEACH57巻.集英社,2012,170p-171p.

「黒棺」という技を発動する際に唱える詠唱

滲み出す混濁の紋章、不遜なる狂気の器、湧き上がり、否定し、痺れ、瞬き、眠りを妨げる爬行する鉄の王女、絶えず自壊する泥の人形、結合せよ、反発せよ、地に満ち、己の無力を知れ、破道の九十・黒棺

を覚えていた男子も周りにいたほどだ。


しかし、最近は漫画を読む子すら減少しているようだ。

聞きなれない固有名詞が休み時間に飛び交うというようなことはあまりないし、最新の漫画やアニメなどのコンテンツについてよっぽど私の方が詳しいということもままある。


あまり難しい言葉を多用して鼻についてしまっても困るのだが、「かっこよく感じる言葉を使いたい」「少しでも難しそうな言葉を使ってみせたい」という感覚には語彙ごい力を育てる滋養じようがあるように思う。

たしかに漢字練習や読書など、語彙を習得する“手段”として大切なことはたくさんある。

しかし、使いたいという気持ちが前提としてなければ、いくらインプットしても身になることはない。

テストのためだけに言葉を勉強しても、その言葉を使えるようになることは難しい。


語彙の習得に関しては散々こすられている単語「ヤバい」についても、あらゆる感想を「ヤバい」で代替してしまうような言語感覚では語彙の強化は望めない。

語彙が大雑把だとあらゆる思考も大雑把になってしまう。

鉈や斧のような大仰な刃物しか持たぬ者に、細かな紙細工のように世界をとらえる感覚は身につかない。

そういう意味では学をてらうぐらいの中二心を持つぐらいが、語彙習得においてはプラスに作用するのではあるまいか。


先日、塾長の福永と中学生とのやりとりで、お盆休みの予定を聞かれた子が

生徒

惰眠を貪ります

と答えていた。

『惰眠を貪る』って言いたいだけでしょ笑

と突っ込まれていたが、大いに結構である。

むしろ

ヒュプノスに誘(いざな)われて褥(しとね)に臥します

ぐらい言ってほしいものである。

中二病の謗りを受けて周囲から奇異の眼差しを注がれたとしても責任は負えない。

この記事を書いた人

生田目
なまため
(イラストは塾生作)

進学塾unitの副塾長。国語・英語・社会担当。2019年には開倫塾主催の全国模擬授業大会の国語部門で優勝。塾において軽視されがちな国語教育の必要性を少しでも感じてもらえるよう、色々書いております。

趣味:ダーツ(カウントアップ860)、釣り(海・川)、野球(西武ライオンズ)

進学塾unitの副塾長。国語・英語・社会担当。2019年には開倫塾主催の全国模擬授業大会の国語部門で優勝。塾において軽視されがちな国語教育の必要性を少しでも感じてもらえるよう、色々書いております。

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Twitterはこちら @unit_nama

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